膵のう胞性疾患

膵のう胞性疾患とは?

膵のう胞性疾患とは?すい臓の内部にのう胞(水のたまった袋)ができる疾患が膵のう胞性疾患です。すい臓の病気として出現するものと、すい臓の病気の合併症として出現するものがあります。
近年、検査画像の高解像度化、検査機器そのものの進歩により、膵のう胞性疾患が早期のうちに発見できるようになっています。消化器内科だけでなく、他診療科(呼吸器内科・泌尿器科)などの画像検査で偶然見つかることもあります。
疾患名は聞きなれないかもしれませんが、人口の2~3%に見つかる病気であり、決して珍しくはありません。加齢とともに発症率は上昇し、80歳以上の方が全体の8~9%を占めているという報告もあります。
経過観察で済むことが多いものの、悪性化するものもあります。定期的な検査で、すい臓の健康状態を確認しておきましょう。

代表的な膵のう胞性疾患

膵のう胞疾患は、大きく以下のように分類されます。すぐに治療が必要ない場合も、定期的に検査を受け、経過を観察していくことが大切です。

良性の疾患 仮性のう胞
漿液性のう胞性腫瘍(SCN)
良・悪性腫瘍 膵管内乳頭粘液性腫瘍(IPMN)
粘液産生膵腫瘍(MCN)
すい神経内分泌腫瘍(P-NET)
Solid-pseudopapillary neoplasm(SPN)

仮性のう胞

膵炎、外傷ののちに生じるのう胞です。「仮性膵のう胞」とも呼ばれます。
のう胞には膵液、壊死した組織、滲出液などが入っており、小さなものであれば自然に消失することがあります。
一方で巨大化するものもあり、その場合は腹痛を伴います。また、細菌感染を引き起こす原因にもなります。膵液の消化液は強力ですので、消化管に穴を開けたり、血管からの出血をきたすこともあります。
巨大化した仮性のう胞に対しては、胃カメラによってのう胞内の液を胃内に排出させる処置を行います。細菌感染を起こしている場合には、外科的な手術が必要になることもあります。

漿液性のう胞腫瘍(SCN)

膵臓に生じる良性疾患です。中年の女性に多くみられます
さらさらとした漿液を貯蓄するのう胞を持ち、膵管との連続性はありません。
悪性との鑑別が難しい場合、4センチ以上に巨大化している場合には手術が行われることもありますが、多くは経過観察で済みます。

膵管内乳頭粘液産生腫瘍(IPMN)

良性・悪性の両方が認められる腫瘍です。膵のう胞性腫瘍の中では、もっとも多く見られるタイプです。検診などで偶然発見されるケースも少なくありません。
疾患名の通り、膵管の中に粘膜を産生します。粘液で満たされることで膵管がのう胞状になります。時間とともに悪性化していき、周囲の臓器に浸潤します。
発見された部位によってはすぐに手術が必要になります。
一方で、経過を見ながら手術のタイミングを見極めることもあります。開腹手術、腹腔鏡手術、ロボット支援手術などが行われます。

粘液産生膵腫瘍(MCN)

粘液が貯蓄したのう胞を伴い、膵尾部に発生することが多い(90%以上)腫瘍です。漿液性嚢胞腫瘍と同様に中年の女性に多くみられます。
経過観察に留めるケースもあるようですが、放置すると悪性化する可能性が高く、基本的には診断がついた時点で手術をおすすめします。

すい神経内分泌腫瘍(P-NET)

すい臓ではさまざまなホルモンが分泌されています。そのすい臓の細胞が腫瘍化し、ホルモンを過剰に産生することがあります。低血糖などの症状を伴うすい神経内分泌腫瘍を「機能性神経内分泌腫瘍」、症状を伴わないものを「非機能性神経内分泌腫瘍」と呼びます。
良性から悪性までさまざまなすい神経内分泌腫瘍があります。中には、ごく小さなものであっても転移を起こすような、悪性の度合いが強い腫瘍も存在します。
正確な診断と、定期的な検査により、手術のタイミングを見極めていくことが大切です。

Solid pseudopapillary neoplasm(SPN)

原因不明ののう胞性腫瘍です。20~30代の、比較的若い女性によく見られ、多くは膵尾部側に生じます。
特に自覚症状はなく、健康診断などで偶然発見されるケースも少なくありません。
基本的には良性ですが、リンパ節への転移、再発なども報告されているため、診断を受けた時点で手術を行うことが推奨されています。

診療時間time

9:00~12:00(外来)
13:00~16:00(検査)
17:00~19:00(外来)

休診日:木曜午後、土曜夕方、日曜、祝日
※第一日曜日(10:00~14:00)も胃カメラ・大腸内視鏡検査を行っております。

アクセス

住所:
〒565-0816
大阪府吹田市長野東7番24号 グランドセンター千里丘

千里丘駅徒歩10分 無料駐車場70台あり


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